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ピンホールが発生する原因とは? めっき皮膜の微細な穴をSEM解析した事例

2026.08.13

ピンホールが発生する原因とは? めっき皮膜の微細な穴をSEM解析した事例

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不良解析 分析・解析

めっきにピンホールが発生した…その小さな穴が大きなトラブルにつながることも

ピンホールとは、一般にめっき皮膜表面に生じる微細な穴状の欠陥です。素地まで達する貫通孔となる場合を”ピンホール”と呼び、窪みを”ピット”と呼びます。素地に達しない浅い窪みにとどまる場合は「ピット」、素地まで貫通する場合は「ピンホール」として、以下では区別して解説します。

ピンホール・ピットのイメージ図
上面からの撮影した実際のピンホール画像

肉眼では確認しにくいほど小さな欠陥ですが、次のような品質トラブルの原因となることがあります。

  • 防食目的のめっきで、ピンホールから腐食が進行する
  • 気密性・液密性が求められる部品で漏れが発生する
  • 外観不良として製品が不合格となる(ピットによる白点・曇りなど)

「ピンホールが出る原因がわからない」、「毎回同じ場所に出る」といった場合、原因はめっき工程だけではなく素材や前処理、製品形状など複数の要因が関係している可能性があります。

ピンホールが発生する原因

1. 素材内部の巣・介在物

鋳造品(アルミダイカスト・鋳物など)には、鋳造時に形成された微細な空孔(巣)や介在物が存在する場合があります。

これらがめっき皮膜の形成を妨げ、ピットやピンホールなど局所的な膜欠陥として現れることがあります。

特にADC12などのアルミダイカスト材では、鋳造条件によって内部欠陥を含む場合があり、鍍金後に欠陥として顕在化するケースがあります。

素材起因かどうかはSEM観察で確認できます。めっき前の素材評価にも対応しています。→相談・評価を依頼する(リンクお願いします)

2. 水素ガスの付着・析出条件

めっきの反応中には水素ガスが発生します。

水素ガスの付着や液の流れ、電流密度などの影響により局所的にめっきの析出が阻害されると、ピット(窪み)が生じ、進行すると素地に達する貫通孔(ピンホール)に至ることもあります。次の様な条件では発生しやすくなります。

  • 撹拌不足
  • 複雑形状によるガス滞留
  • 電流密度が高すぎる(電気めっき)
  • 液循環不足

3. めっき浴の汚染・異物

めっき液中に有機物や微粒子などの異物が混入すると、素材表面への析出が局所的に阻害され、ピットやピンホールの原因となることがあります。

浴管理やろ過不足、治具からの持ち込み汚染なども原因の一つです。

4. 前処理不足

脱脂不足や酸化膜、スマットなどが残っていると、その部分でめっきが正常に析出せず、ピットやピンホール、未析出部が発生することがあります。

特にアルミニウムやステンレスなどは前処理条件の影響を受けやすい素材です。

5. 加工傷・製品形状

切削や、研磨による微細な傷、バリ、深穴形状などは、めっき液の流れや析出状態に影響し、局所的なピットやピンホールの原因となることがあります。

「毎回同じ場所に発生する」というのは、製品形状や加工状態が関係している可能性があります。

SEM解析事例

円筒形部品に無電解ニッケルめっきを施工したところ、内面に白点模様が発生、外観不良となりました。原因究明のために解析を実施しました。

観察・分析

まず、光学顕微鏡で白点の分布を確認し、その後SEMによる表面観察および断面観察を実施しました。

SEMでは白点部に微細なピンホールが多数確認されました。

更に、発生位置や形状、製造状況、浴管理状況を総合的に検証した結果、水素ガスの影響によって局所的に阻害された可能性が高いと判断しました。

改善内容

浴管理条件や撹拌条件を見直した結果、ピンホールの発生は大幅に低減し、白点模様も改善されました。

同じ白点状の外観不良でも、

  • 素材の巣
  • ガスの影響
  • 前処理不良
  • 浴汚染

など原因は様々です。

適切な対策を行うためには、SEM観察や断面観察によって欠陥の形成状態を確認し、工程情報とあわせて総合的に評価することが重要です。

ピンホール・ピットの検出評価方法

方法内容適用場面
フェロキシル試験鉄素地上のめっきでピンホール部を発色させて検出鉄素地上のめっき
塩水噴霧試験(SST)腐食発生状況から皮膜欠陥や耐食性を評価防食めっき全般
SEM観察表面・断面の微細構造を直接観察原因特定・詳細解析
蛍光X線分析膜厚分布や薄膜部を非破壊で評価膜厚のバラつき
断面観察皮膜構造や欠陥の深さを確認詳細な不良解析

ピンホールでお困りならご相談ください

ピンホールはめっき条件だけでなく、素材、前処理、製品形状、浴管理など複数の要因が重なって発生します。

黒坂鍍金工業所では、光学顕微鏡やSEMによる観察、膜厚測定、断面観察などを組み合わせ、原因の切り分けから改善提案までサポートしています。

「原因が分からず改善できない」「同じ不良が繰り返し発生する」といった場合、お気軽にご相談ください。

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