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膜厚不足が起こる理由とは(めっき編)

2026.10.29

膜厚不足が起こる理由とは(めっき編)

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不良解析 分析・解析

指定した膜厚に達していない。処理条件を変更しても改善しない。なぜか?

めっきの膜厚不足が発生した場合、まず「めっき条件に問題があるのではないか」と考えるのが一般的です。

しかし、膜厚不足の原因は、処理条件だけとは限りません。

めっきの膜厚は、耐食性・耐摩耗性・寸法精度などに関わる重要な品質指標です。

指定された膜厚が確保できなければ、製品の要求性能を満たせなくなる可能性があります。

例えば、次のような問題に繋がります。

  • 耐食性試験で基準を満たせない
  • 摺動部品が早期に摩耗する
  • 膜厚による寸法変化が想定と異なり、組付けに影響する

「処理時間を延ばしても膜厚不足が改善しない」「製品の一部分だけ膜厚が薄い」

このような場合には、めっき工程だけではなく素材の状態や製品形状までを含めて原因を調査することが重要です。

実際に、素材内部の欠陥が存在する箇所で、局所的な膜厚差が確認された事例があります。

めっき膜厚不足が起きる主な原因

1.電流密度の不足・分布のバラつき

電気めっきでは、一般的に電流密度や処理時間が皮膜の析出量に影響します。

特に複雑な形状の部品では、部位によって電流が集中したり、流れにくくなったりするため、膜厚にばらつきが生じることがあります。

例えば、次のような箇所では膜厚不足が発生しやすくなります。

  • 穴の内側や深い溝の底部
  • 部品の裏側や電極から離れた部分
  • 複雑な立体形状の入り組んだ部分

また、無電解めっきでは、電流による析出ではなく化学反応によって皮膜を形成するため、電気めっきと比較して形状による膜厚差を抑えやすいという特徴があります。

「穴の中だけ薄い」「製品の形状によって膜厚がばらつく」

このような場合では、製品形状とめっき方法の組み合わせが原因となっている可能性があります。

めっき方法の見直しや、製品のラッキング方法の改善によって、膜厚部分布を改善できる場合があります。

膜厚改善を相談する

2.めっき浴の管理状態

めっき浴の成分濃度や温度、pHなどの管理状態も、析出速度や皮膜品質に影響します。

例えば、電気めっきでは金属イオン濃度などの浴組成が適切に管理されていない場合、析出状態が変化し要求される膜厚を確保できないことがあります。

また、無電解めっきでは、処理の進行に伴って浴中の成分が消費されるため、浴組成を適切に管理する必要があります。

そのため、「同じ処理条件で加工しているのに、途中から膜厚が安定しない」という場合には、めっき浴の状態を確認することが重要です。

3.素材表面の状態・前処理

素材表面の状態も、めっきの析出状態に影響します。

脱脂や酸活性などの前処理が適切に行われていない場合、素材表面に油分・酸化物・異物などが残りめっきの初期析出に影響する可能性があります。

特定の製品やロットだけ膜厚不足が発生する場合には、めっき工程だけでなく素材表面の状態や前処理条件も確認する必要があります。

4.測定個所・測定方法の違い

「膜厚10µm以上」の様な図面指示がある場合でも、測定個所や測定方法が統一されてなければ、測定結果に差が生じることがあります。

例えば、平面部の膜厚だけを測定して合格と判断していても、実際には製品の別の箇所で膜厚が不足している可能性があります。

そのため、膜厚管理では

  • どの位置を測定するのか
  • どの測定方法を使用するのか
  • 何点測定するのか
  • 測定値をどのように判定するのか

といった基準をあらかじめ明確にしておくことが重要です。

「膜厚を測定したら仕様を外れていた」「製品のどこを測定すれば良いかわからない」

このような場合は、測定個所の選定や測定方法の整理からご相談いただけます。

膜厚管理を相談する⇒

黒坂鍍金工業所の解析事例 ~素材内部の空洞欠陥が引き起こした局所的な膜厚差~

発生した問題

無電解ニッケルめっき処理後の製品に白ムラ状の外観不良が発生しました。

前処理条件やめっき条件を見直しても改善が見られなかったため、原因究明のご依頼を受け、外観不良部分と正常部分を比較して解析を行いました。

膜厚の比較

まず、白ムラ部分と正常部分について膜厚を測定しました。

  • 白ムラ部分:4.84µm
  • 正常部分 :6.42µm

測定結果から、白ムラ部分で正常部分と比較して膜厚が約25%薄くなっていることが確認されました。

しかし、めっき条件だけを確認しても、この局所的な膜厚差を説明することはできませんでした。

SEMによる断面観察

そこで、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて断面を観察しました。

その結果、白ムラが発生していた部分の素材内部に、微細な空洞状の欠陥(巣)が確認されました。

この欠陥が素材表面付近に存在していたことから、素材表面の状態や局所的な形状がめっき皮膜の形成状態に影響し白ムラと膜厚差につながった可能性が考えられました。

このように、外観上は「めっきの膜厚不足」に見える不具合でも断面まで観察すると素材側に起因する要因が見つかる場合があります。

原因の特定

今回の解析では、前処理条件やめっき条件を変更しても改善しなかった膜厚差について、素材内部の空洞状欠陥との関連が確認されました。

つまり、めっき工程の条件だけを調整するのではなく、素材そのものの状態まで含めて調査することが必要な事例でした。

対策と結果

解析結果を素材メーカーに報告し、素材の製造工程および各県発生状況について確認を依頼をしました。

その後、素材品質の改善が行われ、白ムラおよび局所的な膜厚不足の発生が解消されました。

この事例の様に、めっき膜厚不足の原因が、めっき工程ではなく素材側に存在するケースがあります。

「処理条件を変えても改善しない」と言う場合には、原因をめっき工程だけに限定せず、素材・表面状態・断面構造まで含めて調査することが、根本原因の特定につながります。

5.めっき膜厚の測定・解析方法

膜厚不足の原因を調べるためには、目的に応じて測定方法を使い分けることが重要です。

測定・解析方法原理・特徴主な用途
蛍光X線膜厚計X線を照射し、発生する蛍光X線から皮膜厚さを測定非破壊での膜厚測定
電磁式・渦電流式膜厚計磁気的・電気的な特性を利用し膜厚を測定素材・皮膜の組み合わせに応じた膜厚測定
断面観察による測定試料断面を観察し、皮膜を直接測定精密な断面観察・欠陥位置の確認

膜厚の数値を確認するだけでなく、「どの部分が薄いのか」「なぜその部分だけ薄いのか」まで調べることが、原因究明では重要です。

黒坂鍍金工業所では蛍光X線による膜厚測定や、SEMを用いた断面観察などを組み合わせて、めっき不良の原因解析を行っています。

めっき膜厚不良の原因調査をご相談ください

めっき膜厚不良の原因は、処理条件・めっき浴の管理・製品形状・前処理・素材品質など、様々な要因が考えられます。

特に、

  • 処理時間を延ばしても膜厚不足が改善しない
  • 特定の場所だけ膜厚が薄い
  • ロットによって膜厚に差がある
  • めっき工程に問題があるのか、素材に問題があるのかわからない

といった場合には、めっき工程だけではなく、素材や断面構造までを含めた解析が有効です。

黒坂鍍金工業所では、現物・図面・測定データなどをもとに、めっき膜厚不足の原因調査に対応しています。

他社で加工された製品についても、原因解析のご相談が可能です。

「膜厚不足の原因を調べたい」

「めっき条件を変更しても改善しない」

「素材に原因があるのか確認したい」

このような場合は、黒坂鍍金工業所までご相談ください

膜厚不足の原因を調べてもらう

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