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めっき剥離・密着不良の原因とは?現場で起きるトラブルの解析事例

2026.07.10

めっき剥離・密着不良の原因とは?現場で起きるトラブルの解析事例

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不良解析

めっきが剥がれた。密着不良が発生した。

その原因を特定しないまま再加工していませんか?

製造現場で最も多いめっきトラブルの一つが剥離・密着不良です。めっきが部分的に浮き上がる、 加工後にめくれる、使用中に突然剥がれ落ちるといった現象は、見た目は同じでも原因が異なる場合があります。

「前処理を強化した」「処理業者を変更した」といった対策を行っても再発する場合は、原因が正しく特定できていない可能性があります。

剥離や密着不良の対策は、まず原因を特定することから始まります。

めっき剥離・密着不良の主な原因

1.前処理の不足・不良

最も多い原因は前処理不良です。

素材表面に油脂、切削油、酸化被膜、指紋などが残っていると、めっきと素材の間に異物が介在し、十分な密着力が得られません。

主な前処理工程 ・脱脂(油、指紋、切削液の除去) ・酸洗い(酸化被膜、スケール除去) ・スマット除去(アルミ合金の残渣除去)

特にアルミ合金(2000系・7000系)はスマットが発生しやすく、前処理の難易度が高い素材です。

2.素材に適した前処理・下地処理不足

素材によって必要な前処理や下地処理が異なります。

素材必要な前処理・下地処理省略した場合の問題
アルミニウム合金スマット除去・ジンケート処理ニッケルめっきが密着しない
ステンレス活性化処理・ストライクめっき不働態皮膜により密着しない
亜鉛ダイカスト銅下地めっきニッケルめっきが密着しない
チタン特殊活性化処理ほぼ密着しない
鉄鋼材料脱脂・酸洗い・活性化処理酸化被膜や油分が残存する
銅・銅合金脱脂・酸洗い・活性化処理酸化被膜や油分が残存する

例えば、アルミニウム表面には非常に安定した酸化被膜が形成されています。この酸化被膜は除去しても 短時間で再形成されるため、スマット除去後にジンケート処理を行わないとニッケルメッキは直接密着しません。

その結果、めっき直後は問題がなく見えても、テープ試験や曲げ加工、使用中の応力によって剥離が発生することがあります。

前処理条件による密着性の違い

実際のめっき不良では、わずかな前処理条件の違いが密着性に大きな影響を与えます。
以下は意図的に前処理条件を変更して作成したサンプルです。

ステンレス上ニッケルめっき(活性化処理・Niストライク不足)

前処理としての活性化およびNiストライクを省略したため、ステンレス表面の不働態皮膜が残存し ニッケルの初期析出および密着形成が阻害され、剥離した例です。

3.めっき浴の劣化・管理不良

発生頻度としては前処理による起因の剥離が多いものの、めっき浴の組成異常や寿命超過によって剥離・密着不良が 発生することもあります。

めっき液は使用とともに成分バランスが変化します。浴管理が不十分な場合、内部応力の高い皮膜や脆い皮膜が形成され 剥離や割れの原因となります。

特に無電解ニッケルめっきでは、浴寿命(ターンオーバー数)を超えて使用すると内部応力が増加し、 めっき層内部での剥離が発生しやすくなります。

4.素材の合金成分による影響

同じ材質名でも合金組成によって、めっき適正は大きく異なります。

・A5052とA5056を混載処理すると、合金成分の違いによって置換反応や成膜挙動が 異なり、外観や密着性のばらつきが発生することがある。 ・ADC12はSi含有量が多く、成膜が不均一になりやすい ・A2000系はCu含有量が多く、スマットが発生しやすい

アルミニウムへのめっきは特に前処理条件が重要であり、合金種ごとに適切な工程設計が重要です。

5.めっき後の加工応力による剥離

めっき工程に問題がなくても、後工程で剥離が発生する場合があります。

例えば、 ・曲げ加工 ・カシメ加工 ・圧入 ・プレス加工

などによって皮膜に過大なひずみが加わると、めっき層が追従できず剥離が発生します。 特に硬質な無電解ニッケルめっきや厚膜のめっきでは注意が必要です。

剥離が発生する位置によって原因は異なる

「加工後に剥がれる」「使用中に突然剥がれ落ちた」といった場合、剥離が発生した位置を 調査することが原因特定の重要な手掛かりになります。

SEM断面観察およびEDX元素分析を行うことで、どの界面で剥離が発生しているかを特定できます。

素材とめっきの界面での剥離 ・前処理不足 ・活性化不足 ・下地処理不足

めっき層内部での剥離 ・浴管理不足 ・内部応力過大

めっきと後処理皮膜の界面で剥離 ・後処理条件の不適合 ・化成処理や塗装工程の不具合

剥離位置を特定することで、再発防止策を効率的に立案できます。

剥離・密着不良トラブルを防ぐためのチェックポイント

確認項目確認内容
素材の合金種・規格材料記号などを図面に明記しているか
前処理品質脱脂・活性化・スマット除去が適切か
下地処理素材に適した下地処理を実施しているか
浴管理分析値やターンオーバー数を管理しているか
ベーキング処理高強度鋼に対して実施しているか
後工程曲げ加工やプレス条件が皮膜許容範囲内か

まとめ

めっきの剥離や密着不良は、前処理不良だけではなく、素材特性、下地処理、めっき浴管理 後工程など複数の要因が関係しています。

同じように見える剥離現象でも、発生している界面によって原因は大きく異なります。

再発防止のためには、SEM断面観察やEDX元素分析などを活用し、まず原因を正確に特定することが重要です。

剥離がいつ「どこで」「どの界面から」発生しているのかを把握することで、適切な対策と再発防止に 繋げることが出来ます。

剥離・密着不良の原因を調べてもらう

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