断面観察でわかること。めっき・表面処理の品質を内部から確認する方法
「断面観察」とは何か。なぜ表面だけ見ても不具合の原因はわからないのか。
めっき・表面処理の不具合解析において、「断面観察」は最も重要な手法のひとつです。
断面観察とは、部品やめっき皮膜を切断・研磨して断面を作製し、その内部構造をSEM(走査電子顕微鏡)や光学顕微鏡で観察することです。
不具合の多くは「表面からは見えない場所」で起きています。
- 剥離の原因となった界面の異物
- 膜厚が薄くなっている部位
- 素材内部の空洞欠陥
- クラックの起点と進行方向
これらはすべて「断面を切って初めて見える」情報です。表面だけを観察しても、原因にたどり着けないことがあります。
断面観察でわかること
1.実際の膜厚と分布
断面を直接測定することで、皮膜の実際の厚みと分布を確認できます。
蛍光X線膜厚計などの非破壊測定は「測定スポット内の平均的な膜厚」を示しますが、断面観察では「その断面での実際の厚み」を直接確認できます。複雑形状の部品では、部位によって膜厚が大きく異なることがあり、断面観察で初めてその実態がわかるケースがあります。
2.素材とめっきの界面状態
めっきが密着しているか・界面に何があるかを直接確認できます。
- 界面が滑らかで均一 → 正常な密着
- 界面に異物・酸化膜・空隙がある → 前処理の問題・密着不良の原因
- 界面が不規則に乱れている → スマット・汚染の残留
剥離品の断面では「どの界面で剥離が起きたか」が一目でわかります。これが対策の方向性を決定します。
「剥離が再発する。どの界面で起きているか確認したい」
剥離品をお送りいただければ断面を作製してSEMで観察します。界面の状態から前処理・浴管理・素材のどこに問題があるかを特定します。
3.複数層の積層構造
下地めっき+仕上げめっきなど、複数層の積層構造を断面で確認できます。
- 各層の厚みが設計通りか
- 層間の密着は正常か
- 特定の層に欠陥がないか
複合処理の品質管理において、断面観察は欠かせない手法です。
4.素材内部の欠陥
めっき・アルマイト処理が不均一になる原因が、実は素材内部にあるケースがあります。
黒坂鍍金工業所の解析事例でも、無電解ニッケルめっき後の白ムラ模様の原因が「素材内部の空洞欠陥」であることをSEM断面観察で特定した事例があります。
素材内部の欠陥が引き起こした膜厚差の解析事例(まもなく公開)
断面観察により、めっき皮膜の問題なのか素材の問題なのかを切り分けられます。
5.クラックの内部構造
クラック(割れ)の断面を観察することで、割れの起点・進行方向・深さ・界面との関係を確認できます。
「表面に割れがある」という現象から「なぜ割れたか」を解明するには、断面観察が必須です。
「クラックがどこから始まっているか確認したい」「素材まで割れが達しているか調べたい」
という方は、クラック品をお送りください。断面を作製してSEM観察を行います。
6.腐食の浸入経路
腐食品の断面を観察することで、腐食がめっき皮膜のどこから浸入し、どのように素地まで達したかを確認できます。
ピンホールからの腐食・界面からの腐食・素地金属の腐食進行状況が断面で明確になり、有効な防食対策の立案につながります。
断面観察の手順
① 切断
不具合部位を含む箇所を切り出す(ダイヤモンドカッター等)

② 樹脂埋め
断面を樹脂に埋め込み、切断面を保護

③ 研磨
断面を順次細かく研磨して平滑化

④ コーティング

⑤ SEM観察

⑥ EDX分析
必要に応じて断面の成分分析


断面作製から観察まで、黒坂鍍金工業所で一貫して対応します。「切断してから送るべきか」と悩む必要はありません。現物をそのままお送りください。
断面観察が特に有効な場面
- 剥離・密着不良:界面を直接確認し、前処理・浴管理・素材のどこが問題かを特定
- 膜厚不足・膜厚ムラ:実際の膜厚分布を確認し、処理条件・形状との関係を解析
- ピンホール:穴の内部構造から発生メカニズムを推定
- クラック:割れの起点・進行方向を確認し、内部応力・変形・形状の影響を特定
- 腐食:腐食の浸入経路・進行状況を確認
黒坂鍍金工業所にご相談ください
黒坂鍍金工業所では、断面試料の作製からSEM観察・EDX分析・報告書の作成まで一貫して対応しています。
「どこを切ればいいかわからない」「現物を加工したくない」という場合でも、ご要望に合わせた試料作製方法をご提案します。
現物をそのままお送りください。他社加工品の断面観察・解析にも対応しています。
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