陽極酸化被膜処理(化学梨地アルマイト)
陽極酸化被膜処理(化学梨地アルマイト)とは
陽極酸化皮膜処理とは、デザイン性を高めながら、腐食や傷から製品を守るアルミ専用の高機能処理です。アルミ表面に硬く緻密な酸化被膜を形成し、耐食性・耐摩耗性を大幅に向上。染色による多彩な仕上げも可能で、高級感の演出にも最適です。電気を通さず軽くて強い性質を活かせるのは、この処理ならではの特長です。
その中でも化学梨地アルマイトは、アルミ表面を化学薬品(酸やアルカリ)で均一に微細腐食させた後に、陽極酸化処理を行うアルマイトです。目的は、梨地(マット)仕上げの意匠性向上と表面滑り止め・反射低減です。加工は物理研磨やショットブラストに比べて微細で均一なため、光沢や指紋跡を抑えた外観が得られます。
化学梨地アルマイト処理の反応式
| 陽極側 | 陰極側 |
|---|---|
| 2Al + 3H₂O → AI₂O₃ + 6H⁺ + 6e⁻ | 6H⁺ + 6e⁻ → 3H₂↑ |
化学梨地アルマイトの特徴
| 1.通常のアルマイトと同様の特徴を持つ 高耐食性や電気絶縁性を持つ。 |
| 2.均一なマット調(梨地)表面 化学薬品により微細な凹凸を形成し、光の反射を抑えることができる。 |
| 3.平滑で微細な表面 物理的な研磨よりも凹凸が微細で、手触りが滑らか。 |
| 4.高意匠性 梨地の粒度は薬品や条件で調整可能で、汚れを目立たせたくない高級家電やIT機器の外装に向く。 |
化学梨地アルマイトのメリット・デメリット
| メリット | ・通常アルマイトと同等の保護性 ・色ムラが少なく、高品質な外観が得られる ・反射を抑えた均一なマット調 |
|---|---|
| デメリット | ・表面が僅かに粗くなるため、傷が付きやすい場合がある ・光沢を出す用途には不向き |
アルマイト処理の種類
| 種類 | 特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
| 白アルマイト | ・透明でアルミの質感を活かす ・皮膜硬度Hv150以上 ・耐食 / 耐摩耗性向上 ・電気絶縁性 |
・家電外装 ・精密機器 ・装飾部品 |
| 黒アルマイト | ・染料で黒色に着色 ・白アルマイトと同等の硬度/保護性 ・光吸収性がある |
・家電外装 ・IT機器 ・家具部品 |
| カラーアルマイト | ・多彩な色が着色可能 ・耐食/耐摩耗性あり ・発色は素材と工程に依存 |
・装飾部品 ・文具 ・機器外装 |
| 硬質アルマイト | ・膜厚20~100µm、硬度Hv400以上、一般的にHv450〜500程度 ・非常に高い耐食 / 耐摩耗性を有する ・外観より機能性重視 |
・揺動部品 ・機械部品 ・金型 |
| 化学梨地アルマイト | ・均一なマット調表面 ・指紋や汚れが目立ちにくい ・アルマイトによる耐食性保持 |
・高級家電 ・PC外装 ・自動車内装 |
| 化学研磨アルマイト | ・鏡面に近い光沢感 ・複雑な形状にも対応可 ・アルマイトによる耐食性保持 |
・家電外装 ・PC外装 ・装飾部品 |
化学梨地アルマイト処理の設備と対応可能サイズ
| 自動ライン | |||
|---|---|---|---|
| サイズ | 1600×900[mm] | ||
| 対応材質 | アルミ | ||
| ライン | 普通、硬質、カラー(黒色)、化学研磨 | ||
| 手動ライン | |||
|---|---|---|---|
| サイズ | 400×600[mm] | ||
| 対応材質 | アルミ | ||
| ライン | 普通、硬質、カラー(黒、青、赤)、化学梨地、化学研磨 | ||
※治具、浴槽は自社のメンテナンス部門により製作ができます。特急対応などで治具が必要な場合でも対応可能です。
黒坂鍍金工業所 取扱い
ショットブラスト(GB・Feなど)
レーザー加工
ヘアライン
バフ研磨
マスキング技術(貼る・塗る)
化学研磨(光沢仕上げ)
化学梨地(艶消し仕上げ)
超硬質陽極酸化処理(Hv450以上)
硬質陽極酸化処理
普通陽極酸化処理
黒色含む装飾アルマイト
PTFE含有陽極酸化処理
アウトソーシング対応
アースカット
ダイヤカット加工
スピン加工
シルク印刷
ダブルアルマイト加工
アルマイト処理の皮膜特性
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 表面に酸化アルミ(Al₂O₃)の層を形成。多孔質構造を持ち、着色や封孔が可能。膜の約半分は母材内部に浸透。 |
| 硬度 | 普通アルマイトはHv150以上。硬質アルマイトはHv400以上、一般的にHv450〜500程度。摩耗に強い。 |
| 耐食性 | 酸化被膜により耐食性が向上。封孔処理を施すとさらに耐久性アップ。 |
| 電気絶縁性 | 酸化アルミ層は電気を通さず、高い絶縁性を持つ。電子部品のハウジング等に最適。 |
| 膜厚 | 通常は5~25μm程度。硬質アルマイトは25~100μm。皮膜は処理条件で調整可能。 |
| 耐食性 | 通常使用では安定だが、100℃以上で劣化の可能性(柔軟性・耐衝撃性に乏しい)。 |
| 耐薬品性 | 中性環境下で安定だが、強酸・強アルカリには弱い。 |
| 密着性 | 母材と一体形成されるため密着性が高く、剥がれにくい。 |
| 摩擦係数 | 比較的高め。潤滑性は低いため、必要に応じて二次処理(PTFEなどの潤滑アルマイト)を施す。 |
| 見た目 | 無色透明~白、染色により様々な色を付与可能。金属感を活かした装飾に適する。 |
アルマイト処理と材質との関係性
アルミは合金元素の違いにより、アルマイトの仕上がり・耐食性・色ムラ特性が大きく変わります。以下に主要な4系統をまとめます。
A1000系(純Al系:A1050など)
| 材料特徴 | ・耐食性 / 耐摩耗性の向上 ・電気絶縁性を有する ・外観の向上 |
|---|---|
| メリット | ・皮膜硬度や耐摩耗性は硬質アルマイトに劣る ・厚皮膜では無いため、耐久性を求める用途には不向き |
| デメリット | ・皮膜硬度や耐摩耗性は硬質アルマイトに劣る ・厚皮膜では無いため、耐久性を求める用途には不向き |
A2000系(Al-Cu系:A2017,A2024など)
| 材料特徴 | ・銅(Cu)を含んでおり、強度が高い ・航空機材料など高強度用途に使用 |
|---|---|
| メリット | ・高強度が必要な部品に適する |
| デメリット | ・色が濃く染まり、鮮やかに染まりにくい ・斑点、ムラが発生しやすい |
A5000系(Al-Mg系:A5052,A5083など)
| 材料特徴 | ・マグネシウム(Mg)添加により、耐食性と強度のバランスが良い ・船舶、車両部品などに使用 |
|---|---|
| メリット | ・白アルマイトでは比較的きれいな仕上がりになる ・機械的強度と加工性のバランスが良い |
| デメリット | ・カラーアルマイトではA1000系よりも色ムラが発生しやすい ・Mgが多い合金(A5083など)では染まりにくい ・硬質アルマイトは可能だがやや難易度が高い |
A6000系(Al-Mg-Si系:A6061,A6063など)
| 材料特徴 | ・マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)を含み、析出硬化が可能で強度が高い ※析出硬化とは金属中に溶け込んでいる元素が、熱処理によって微細な析出物を形成し、金属の強度/硬度を向上させる現象 ・機械加工性が良く、構造部材や機械部品に広く使用 |
|---|---|
| メリット | ・皮膜が比較的均一で仕上がりが綺麗 ・硬質アルマイトも厚く強靭に形成可能 ・構造強度とアルマイト品質のバランスが良い |
| デメリット | ・カラーアルマイトはA1000系よりも若干くすみやすい ・Siの量が多いと皮膜がグレーよりになることがある |
| 系列 | 主成分 | 強度 | 耐食性 | アルマイトの仕上がり | 適した用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| A1000系 | 純アルミ | 低い | 高い | ◎ 最も美しい(鮮やか) | 意匠、カラー、外装 |
| A2000系 | Cu系 | とても高い | 低い | △ ムラ・濃色になりやすい | 航空機など高強度部品 |
| A5000系 | Mg系 | 中〜高 | 非常に高い | ○ 良いが1000系よりややムラ | 車両、船舶、タンク |
| A6000系 | Mg-Si系 | 中〜高 | 高い | ◎ 均一、硬質アルマイト良好 | 機械部品、構造材 |
アルマイト処理の用途・事例
カメラや光学部品
半導体関連部品
LEDなどの照明機器
スマートフォンなどの家電部品
放熱を目的とする産業機械部品
船舶や電車、航空機などの内装部品
表面処理や鍍金加工に限らず、実現したいことや困りごと、どんなことでも相談してください。
試作品や、1点のみのご依頼にも柔軟に対応いたします。